自然にかえる暮らしの実験。消滅型コンポスト、キエーロとは?

伊藤かさね

slowzのメディア移行とともに、新たにスタートした「わたしの偏愛sustainable things」。


環境にも、自分自身にとってもサステナブルで心地よい暮らしを模索・実践・提案している人に、心から好きなアイテムやお店を紹介してもらう、主観を大切にした企画です。


今回は、ナチュラルでオーガニックなグッズ、ウェア、ファニチャーなどを取り扱うセレクトショップ、FRANKINCENSE+SHOPのオーナーで「酒井しょうこのシンプルスタイル」などの著書でも知られる酒井しょうこさんにお話を伺いました。


敬虔なカトリック教徒の家庭に生まれ、環境保護の聖人である聖フランチェスコとの出会いを機にシンプルかつナチュラルな生き方を模索され続けているしょうこさん。

お店の取材に伺った際、「モノをセレクトするのにとっても時間をかけているのよね」とおっしゃっていたのが印象に残っており、今回の企画にあたり真っ先に思い浮かびました。


そんなしょうこさんの愛用品、そして今まさに試行錯誤中の「キエーロ」についてご紹介していきます。





不要な食器をリサイクルして作られたRe-食器




「久しぶりですね」なんて他愛ない話から始まった取材。お茶を出していただいたカップが柔らかな風合いで素敵だなと思っていたら、まさにこのカップが最初の愛用品。日本の陶器の生産量の約6割を占める、美濃焼の産地・東美濃で始まったリサイクルプロジェクトの中からうまれたものなんだそう。「家の食器はすべてこれ。電子レンジでの利用はおすすめしないけど、食洗器はOKだしあんまり重たくないから使い勝手がいいのよ。」FRANKINCENSE+SHOPでも取り扱っているとのことだったので、我が家にもお迎えすることを決めた。



コーヒー豆が入っていた麻袋を使ったバッグとミトン



お店で取り扱うオーガニックフェアトレードのコーヒー豆が入っている麻袋を再利用できないかと考えた末、生まれたというこちら。「ミトンの方は、スポンジ代わりにお掃除や体を洗うのにも使えちゃうのよ」と、あらゆる物を無駄なく活用する機会をうかがうしょうこさんらしい。




荷物によって使い分け、リサイクル素材のナップサックとオーガニックコットンのエコバッグ。




使用済みのペットボトルを再生した生地で作ったナップサックはリュックとしても手提げとしてもつかえるようにデザインしたオリジナル。オーガニックコットン100%のエコバッグは小さく畳んでバッグに忍ばせておけるので、いざという時に役立つアイテムなんだとか。




目下の関心はこれ!自宅で生ごみを処理する「キエーロ」




地球環境保護、動物愛護の観点からお肉は食べず、野菜や果物をよく食べるしょうこさん。ゴミを極限まで減らしているとはいえ、生ごみだけは避けられない。昔からコンポストは使ってきたそうだが、最近新たに始めたのがキエーロ(※生ゴミが消滅するコンポストの一種)。ご自宅のベランダにあった収納ベンチを再利用し設置した。気温や湿度、いれたものによって分解のスピードに違いが出てくるそうで色々試しては分解具合をチェック。「土いじりは楽しいわよ、ポイントはやっぱり深く掘ってかき混ぜることね」と目をキラキラさせていた。


とにかく、このキエーロをみんなに知ってほしいと、お店の中庭にも設置し興味を持っている方が見学できるようにしたそう。お店にいったら、ぜひ見てみてほしい。





好奇心あふれるしょうこさんの暮らしが教えてくれること


まだ20代の私にとって、しょうこさんは人生のかなりの先輩だ。しかし、時々、まるで少女のようだと感じる瞬間がある。キエーロについて教えてくれている時も、まるで新しい遊びを見つけた子供のようだった。


もちろん、遊びではないし、その裏には悪化する地球環境への強い危機感や使命感がある。苦労や悩みも尽きないだろう。それでも、コーヒー豆の麻袋の再利用方法を考えたり、生ごみを早く分解する方法を試してみては、その成果を嬉しそうに教えてくれるしょうこさんは、なんだか常に楽しそうなのだ。

人は年を重ねれば重ねるほど、新しいことにチャレンジするのが容易ではなくなる。たとえ、責任感や使命感があってもだ。

そんな時にこそ、好奇心や探求心といったものが「新しいこと」へのハードルをぐっと下げてくれるのではないだろうか。


毎日が好奇心や探求心にあふれているしょうこさんの生活に、私も大いなる刺激をもらった。

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