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服の環境負荷を知ってますか?リサイクルするときのポイント
季節の変わり目はクローゼットの見直しの時期。 「もうこの服は着ないからどうしよう」思った方はすぐに捨てずに、リサイク ルという方法をとってみるのも手。整理収納アドバイザー&クローゼットスタイリストの戎谷洋子さんが実践しているリサイクルの方法について紹介しま す。 アパレル店員20年の経歴を活かして、服の扱い方やお手入れ方法なども発信さ れている、戎谷さんにご執筆いただきました。
クローゼット整理は「捨てる」から「それ以外の手放し方」へシフト
クローゼット整理のお悩みを聞くと、よく出てくるのは「捨てられない」という言葉です。 サステナブルへの意識も高くなってきた今こそ、「捨てる」から「それ以外の手放し方」へ シフトするのがおすすめです。実際に「捨てる以外の方法ならクローゼットのモノが減らせ るかも」との声もあり、これまで多数のお客様に「手放し方」の提案をしてきました。
そういう私も以前は、「部屋着用」「パジャマ用」の引き出しはパンパンでした。服好きで手 持ちの数が多いうえに、やはりまだ使えるのに「もったいない」、ただ捨てて燃やすのは「環
境問題」的にも良くないと、そう思っていたのです。
◆整理収納で最初にすることは、「不必要なモノの手放し」
整理収納で最初にまずしないといけないのは、「不必要なモノの手放し」です。ところがこ のハードルは高く、最初にして最大の難関といっても過言ではありません。とくに「もった いない」「高かったから」と捨てられない理由はたくさんあるのです。
そんな中、数年前から、クローズアップされたのが「3R 運動」。
3R とは、
1Reduce(ゴミそのものを減らす)
2Reuse(繰り返し使う)
3Recycle(資源として再利用する)
この優先順位で廃棄物の削減に取り組むというものです。3のリサイクルは個人で実践す るのは難しいけど、減らすことと繰り返し使うなら自分でもできそうです。
このように私自身の経験から、クローゼットにお悩みのお客様にも、「捨てる」以外の選択 肢をお伝えました。すると「エコになるなら」「誰かの役に立つなら」と、やっとの思いで 手放す方が増えてきたのです。
私自身も 3R につながる手放し方を、実践してきました。
「リサイクル」「寄付」で手放した服が環境破壊につながっている!?
ですが、ある時、衝撃を受ける出来事が起こりました。「リサイクル」「寄付」などの名目で 服を回収していた業者が、じつは第三国で服をそのまま埋め立てているという記事を読ん だのです。広大な土地に掘られた穴。そこに捨てられ、巨大な山となった様子が、私には「服 の墓場」に見えました。
ショックのあまり、自分なりに調べたところ、残念ながら似たような事例が出てきます。そ してその服は、自然に還らない素材も多く、ただ増え続けるというのです。
実際に環境省の HP でも、服 1 着を作るために起きる環境負荷の説明をしていました。
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
良かれと思って「3R 運動」を勧めてきたのに、実際はリサイクルされていない可能性もあ る。それ以来、「どんな服でも買い取ります」という文言を見ると、本当に信用していいの かと、悩むようにもなりました。
それなら、服を切り、日常使いのできるウエス(雑巾)にすることも試そうとしましたが、 やはり大好きな服にハサミを入れる行為は心苦しくて耐えられず。
どうしたらいいのかと悩みながら、「今の自分が少しでもできること」を探しました。
◆毎日着る服は「ブランドを限定」というマイルール
ここで私のクローゼット事情をお伝えしますと、20 年間アパレルに携わった、筋金入りの ファッション好きなので、オンタイムウエアを選ぶ基準は「本当に着たい」です。
素敵な素材はホームケアができないものもたくさんあるけど、気に入れば買うし、お手入れ して⻑く楽しみます。
一方でワンマイルウエアや部屋着は「手放しサイクルが短いもの」と割り切って、プチプラ を選びます。そしてワンマイルウエア→部屋着→パジャマと用途を変えて⻑く着るのです。
以前はリユースに出していましたが、「服の墓場」の記事を読んでからは、手放しづらく、 次第に「部屋着用」「パジャマ用」の引き出しが溢れるようになりました。手放す状態にな っても「もう少し」と思ってしまう。これをどう捉えるかは人それぞれですが、私の場合は 「イケテナイ服を着ている自分」に気持ちが曇ってしまいました。
そこで作ったマイルールは「サイクルの短い服は、自社ブランドの服を回収しているショッ プに限定する」こと。自社ブランドのものなら、回収後も確実にリユースやリサイクルをし てくれるはず、と思ったのです。
すべてを一つのブランド限定するのは難しいので、高頻度で手放すものからスタートしま した。
◆服の回収ってどうするの?身近でおすすめなブランド3つ
ここで、服を回収しているブランドを3つご紹介します。皆さんもご存知かつ身近なブラン
ドのユニクロや GU、海外系の H&M や ZARA など。どこも店頭に回収 BOX を設置して
います。
私も実際に取り組んでみて「BOX に入れるだけ」という簡単さは、続けるための大切なポ
イントだと実感しています。
◆リサイクルを継続するために紙袋を活用
「あとで」と思っていると、忘れたり、つい面倒になるのが整理収納とリサイクル。継続し て取り組むために、クローゼットには UNIQLO の紙袋を置いています。
「もういいかな?」と思ったらすぐに紙袋にポン!出かけるときに、そのまま持ってお店の BOX へ入れるだけです。もちろん、ほかの袋でもいいのですが、私の場合はこの方が意識 付けできるようです。
この活動の結果、こまめに手放すので、引き出しが溢れなくなりました。そして「ちゃんと 活用してもらえる」という安心感は、「また持ってこよう」というモチベーションにつなが っています。
●クローゼットは地球を救う
クローゼットの整理収納は、最終的に「本当に使うものだけを持つ」というところに行きつ きます。それを捨てるのではなく循環で行うことこそ、サステナブルな取りくみにも繋がり ます。 アパレル販売員時代、服をたくさん売ること、そして服が好きでたくさん所有してしまうと いう経験があるからこそ、大事なのは、「本当に使うものだけ持つということ」にいきつき ました。
まずは「現実を知り、自分にできることを小さくてもやってみる」。