「身体にやさしい」は「地球にもやさしい」。オーガニックという選択

slowz編集部

毎日使う日用品、衣服、食材…どのような原材料を使っているのか気にしたことはありますか?

slowzライターのSはアレルギー体質ということもあり、買い物の際は原材料名を見て、添加物やアレルギーの原因を避けるのが日常的だったそう。

そんなSがここ数年、意識してオーガニック製品を選ぶようになったのは「自分の身体のため」だけでなく「環境のため」にも良い、サステナブルな選択であると知ったからだと言います。

なぜオーガニックが環境にやさしいのか、どんな選び方があるのか聞いてみました。



■安心だけど高い、オーガニックが選択肢に入りにくい日本


オーガニックという考え方は1940年代に生まれたため、言葉自体は80年ほどの歴史があります。聞いたことはあっても、意識して生活に取り入れている人はどれくらいいるでしょうか?

アメリカでは全世帯の80%がオーガニック製品を利用しているとの調査結果がありますが、日本の利用率は30%程度。全ての食品でオーガニックを選んでいる人は1.6%程度だそうです。


「より安心できそう、でもちょっと高い…」

私も、オーガニックに対してそんなイメージを持っていた1人でした。


身体にとって悪影響のある原材料を除いて作られている製品がたくさんある中で、敢えてオーガニックを選ぶ必要性を感じていなかったこともあって、十数年前までは全く意識していなかったのです。

今考えると、日本で流通している食品や製品は企業努力で一定の基準以上のものが作られているはず、という安心感もあったのかもしれません。




日本でオーガニックの浸透が遅れている理由については様々な議論がありますが、品質の面で安心できる製品が多い(と信じている)こともあるのではないかと感じます。


そんな中で私がオーガニックを選ぶようになったのは、その製法が身体によいだけでなく、サステナブルな生活のベースになると知ったからです。



■オーガニックとは、自然の循環の中で物を生み出すこと


私はもともと自然が多い土地で生まれ育ち、子供の頃は農作業の手伝いをすることもありました。

家の周りには果樹園が多かったのですが、毎年初夏~夏にかけて一斉に農薬が散布されます。

その時期は薬剤の臭いがあたり一面に広がるので、学校帰りに通りかかると息を止めて速足で通り過ぎたものです。



農産物は化学物質の力を借りて育っていることを幼いころから身近に感じていたこともあり、「農業とはそういうもの」と考えていました。


そんな私が「オーガニック」に興味を持ったきっかけは、10年ほど前にコンポストを試したことがきっかけです。コンポストは、微生物の力を利用して生ごみを堆肥化する仕組みのこと。

「燃やすもの」だと認識していた生ごみが分解されていく様子を目の当たりにし、微生物の力や、自然の循環を肌で感じた体験でした。



豊かな土には数多くの微生物がいますが、化学的な肥料や農薬を使った土地には微生物が生息できません。微生物がいないと病原菌や害虫が発生しやすくなり、さらに多くの農薬が必要となってしまうのだとか。

微生物が作り出した栄養を吸収して植物が育つ。オーガニックは自然の循環の中で物を生み出すことなのだと知り、健康面だけでなくサステナブルな考え方に心地よさを感じて生活に取り入れるようになりました。


※「有機農業の推進に関する法律」でのオーガニックの定義は…

化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業のこと




■土だけでなく、水の豊かさも守るオーガニック製品


有機栽培は土壌の豊かさを守る。私がオーガニックに興味を持ったのはそれがきっかけでしたが、実は水とも関係があります。

農薬や肥料は土壌に撒くので、雨が降れば水に溶けていずれは川や海にたどり着きます。

水は土に比べて微生物が少ないので、一度汚れるときれいになるまで長い時間がかかってしまうのです。



有機農法であれば、農薬も定められた必要最低限の量ですし、肥料も自然に存在するものを使用するため、水を汚すリスクも低くなります。



他にも、私たちの生活の中で水環境に負担をかけている可能性があるのはシャンプーや洗顔料などの化粧品ですが、最近では名前に「オーガニック」とついている製品が増えているのをご存知でしょうか?


オーガニックコスメとは、自然界で循環する成分だけを使っているかどうか、という考え方です。



石油系合成成分を除いていたり、動物由来の成分を配合していなかったりと、人や動物に配慮した成分でつくられているのと同時に、天然率を高めることで自然に還りやすいとも言えるので、サステナブルな選択の一つとして取り入れていくのも良いと思います。




■私がオーガニックを選ぶもう一つの理由は…


私の場合、健康に直結すること、また購入頻度が高いことから、食べ物から少しずつオーガニック(有機)食品を選ぶようにしました。

とはいえ毎日食べる食材を一度に替えるのはハードルが高いので、調味料やワインなどを購入することが多いですね。最近ではスパイスもオーガニックのものが増えてきていて、近所のスーパーでも手に入れることができます。



特にしょうゆなど、大豆加工品は遺伝子組み換えでないかどうかも気になるのですが、オーガニックを選ぶともちろん遺伝子組み換えは使用していませんし、アルコールなどの添加物も入っていないことがほとんど。

また、オーガニックであるだけでなく原材料をフェアトレードで調達している製品もあります。(写真のコショウの袋に記載された青と緑のマークがフェアトレード認証です。)


オーガニック製品は「安心・安全・環境に配慮する」ことを目的に、作り手側が栽培方法以外にも様々な配慮をしていることが多く、そのこだわりがオーガニックを選びたくなる理由の一つでもあります。


■少しずつ「オーガニック」な選択を


日頃食べているもの、使っているものがどんな原料でどう作られているか、製品だけ見て判断することは困難。「オーガニック」は少なくとも身体や環境に対して負荷が少ない育て方をされたものであるという判断基準の一つになります。


日本はアメリカやヨーロッパに比べるとまだオーガニックが浸透していないため、価格も高く流通も少ないのが現状ですが、今後も大手企業がオーガニック製品の提供に取り組んでくれるケースが増えていくことも期待したいですね。


そのためにも、一消費者としてこれからもできるところからオーガニックという選択をしていきたいと考えています。

皆さんも、次回の買い物の際は何か1つ、オーガニックで作られたものを選んでみてはいかがでしょうか。

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